みなさま、こんにちは。
ドイツ、ベルリン在住のフォトグラファー、Yuko.N.Sです。いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。
本日のテーマは“【ドイツ無期限滞在許可証】崖っぷちからの大逆転!収入不足で更新不可の私が「最強ビザ」を手に入れた話”です。
どんよりとした厚い雲が空を覆い、午後3時にはもう薄暗くなってしまうベルリンの冬。そんな重苦しい空と同じように、私の心もここ数週間、滞在許可証のことで鉛のように重くなっていました。
しかし先日、そんな我が家に突然、雲の切れ間から眩しい光が差し込むようなビッグニュースが舞い込んだのです。
今日は、絶望の淵で向かった外国人局(Ausländerbehörde)での出来事と、そこで起きた「まさかの奇跡」について、ありのままの感情とともにシェアしたいと思います。
届いたメールは「ビザ更新不可」の宣告
事の発端は、私のフリーランスビザの更新手続きでした。
現在、ベルリン外国人局の予約は問い合わせフォームからのみ受け付けています。私はこれまで通り、フリーランスとしての活動実績や収入証明などのPDF資料を揃え、更新の申請を送りました。
ところが、2日後に届いた外国人局からの返信メールを見て、私は血の気が引きました。
そこには、予約日時の案内(なんとクリスマス直前の12月18日!)とともに、**「フリーランスビザ更新に必要な書類とは全く違う書類を持ってくるように」**という不可解な指示が書かれていたのです。
添付されていた呼び出し状に記載されていた持参書類リストは、目を疑うものでした。
- パスポート(私、夫、子供全員分)
- 婚姻証明書の原本(アポスティーユ付き)
- 現在の滞在許可証(家族全員分)
- 夫の雇用関係書類:雇用契約書、在職証明書、過去6ヶ月分の給与明細
- 両親手当(Elterngeld)の通知書
- 健康保険の証明書(夫婦分)
- 年金記録(Versicherungsverlauf)(夫婦分)
- 語学証明書(夫婦分)…など
「えっ、私のフリーランスの書類(請求書や税金関係)は1つもない…?」
求められているのは、会社員である夫の仕事や、家族関係の書類ばかり。「これは一体どういうこと?」と混乱し、慌てて担当者に問い合わせのメールを送りました。
すると、返ってきたのは衝撃的な事実でした。
「あなたの収入が安定していないため、フリーランスビザの更新条件をクリアできていません。更新は不可能です」
ガーン……。終わった……。
頭の中が真っ白になり、ベルリンの冬空がさらに暗く見えました。しかし、そのメールの最後には、一縷の望みをつなぐ一文が添えられていたのです。
「あなたにとって最善の方法を検討するために、書類一式を持って面接に来てください」
(Um das bestmögliche für Sie zu prüfen, bitte ich Sie die Unterlagen vollständig zur Vorsprache mitzubringen.)
「更新不可」と突き放すのではなく、「最善の方法(bestmögliche)を検討しよう」と言ってくれる担当者。 この言葉だけを頼りにわずかな期待がないまぜになった状態で、胃をキリキリさせながら当日を迎えました。
予想以上の大勝利!「スーパー無期限滞在許可証」
そして迎えた運命の当日。 指定されたFriedrich-Krause-Uferの外国人局は、相変わらず独特の緊張感が漂っています。
緊張でガチガチになりながら指定された部屋に入り、担当官のデスクに座りました。彼は私の顔と、山済みの書類を交互に見ながらこう切り出しました。
「Yukoさん、フリーランスビザとパートナービザ、どちらを更新したいですか?」
フリーランスビザの更新は無理とメールではっきり言われていたので、私は迷わず答えました。
「パートナービザでお願いします」
そう、事前に夫の書類ばかり求められたのは、私のビザを「会社員の夫の扶養家族(パートナービザ)」に切り替えるためだったのです。これでとりあえず滞在は続けられる…と少しホッとしたのも束の間。
持参した膨大な資料を一通り確認していた担当官が、ふと手を止めて言いました。
「あなたは『無期限滞在許可(Erlaubnis zum Daueraufenthalt-EU)』に切り替えられる可能性がありますね。60ヶ月以上年金を支払っているし、お子さんもいる。ちょっと上司に聞いてみるよ」
えっ!? 無期限!?
パートナービザの更新だと思っていたのに、いきなりゴールである「永住権」の話!?
ここで一つ不安がよぎりました。
通常、無期限滞在許可証の取得には「B1(中級)」の語学証明が必須です。
しかし、私がこの日持参していたのは、**8年前に合格した「A1の合格証」と、ドイツで通っていた「B2コースの受講証」**のみ。B2まで勉強はしましたが、最後のテストは受けておらず、肝心の「B1合格証」は持っていなかったのです。
「語学証明が足りないと言われるかもしれない……」
そんな不安を抱える私と夫を残し、担当官は収入と支出の計算をするために資料を持って部屋を出て行ってしまいました。
残された私たちは、顔を見合わせ、心臓が口から飛び出そうなくらいドキドキしながら待ちました。
「上司と相談した結果、やっぱり語学証明が足りないのでダメでした」と言われるのか、それとも……?
永遠にも感じる数分後、担当官が戻ってきました。そして、静かにこう言ったのです。
「Yukoさんとお子さんには、『EU長期滞在許可(Erlaubnis zum Daueraufenthalt-EU)』に切り替えることができます」
……え? 本当に?
「とりあえず更新」どころか更新すら危ぶまれていた崖っぷちの状態から、いきなりドイツ滞在の最終ゴールである**「無期限滞在許可証」、しかもEU全域で有利な「スーパー無期限滞在許可証」**を手に入れてしまったのです!
まさに地獄から天国。崖っぷちからの大逆転ホームランです。
私の古いA1合格証とB2の受講歴、そしてこれまでの滞在実績を総合的に見て、「十分なドイツ語能力がある」と判断してくれたようです。
今回いただいた「Erlaubnis zum Daueraufenthalt-EU」は、ドイツのビザの中でも最強クラスのステータスと言われています。
<!– リストブロック –>
- 更新手続きがほぼ不要: もう数年おきに分厚い書類を準備してドキドキする必要はありません。
- 仕事が完全自由: 会社員でもフリーランスでも、何なら働かなくてもビザは失効しません。
- ドイツを離れても大丈夫: EU域外(日本など)なら連続12ヶ月、EU内なら最長6年までドイツを離れても権利が消滅しません。
ちなみに、このビザを取得するための本来の条件は、以下の6つと非常に厳しいものです。
【無期限滞在許可証の取得条件】
- 5年間、滞在許可を有して連邦領内に滞在していること。
- 本人および扶養すべき家族の生計が、固定的かつ定期的な収入によって確保されていること。
- 十分なドイツ語の知識を有していること。(通常はB1)
- 連邦領内における法秩序、社会秩序、および生活状況に関する基礎知識を有していること。
- 公共の安全または秩序に対する違反の重大性や種類、あるいは当該外国人から生じる危険性を考慮し、かつこれまでの滞在期間や連邦領内での結びつきの存在を考慮した上で、公共の安全または秩序上の理由が(許可付与の)妨げとならないこと。
- 本人および家庭生活を共にする家族のために十分な居住空間を有していること。
担当者の方は、私の「現在の収入の安定性欠如」や「B1合格証の欠如」というマイナス面を見るのではなく、「長年の滞在実績」や「年金納付記録」、そして「B2まで学んだ努力」というプラス面を見て、より良い条件のビザに切り替えるという「最善の方法」を提案してくれたのです。
夫にも起きた奇跡。「B1」ではなく「A1」でOK!?
奇跡はこれだけでは終わりません。
私がこの最強の盾を手に入れたことで、配偶者である夫のビザ審査にも大きな変化が起きました。
通常、ドイツで無期限滞在許可証を取るには、配偶者であっても**「B1レベル(中級)」のドイツ語能力証明**が鉄則です。
しかし、さきほどの担当官は、夫の目を見てこう言いました。
「ご主人は、A1のテストに合格すれば(無期限に切り替えて)オッケーですよ」
えっ!? A1でいいんですか?
A1といえば、「Das ist ein Stift.(これはペンです)」といった、超・入門レベル。
本来なら高いハードルであるはずの語学要件が、なぜ夫には免除されたのでしょうか?
後で専門的な情報をもとに整理してみたところ、これには**「法律のカラクリ」と「担当者の粋な計らい」**が関係しているようです。
「統合コース」の義務がなかったから
ここが最大のポイントのようです。
通常、ドイツに来た外国人は「統合コース(語学+文化講座)」への参加が義務付けられます。しかし、日本人や高度人材の場合、「統合の必要性が明らかに低い」とみなされ、この義務が免除されることが多いのです。
法律(滞在法 第9条 第2項 第6文)には、**「統合コースに行く義務がなかった人は、無期限滞在許可証の際も『簡単なドイツ語(A1)』ができれば要件を満たす」**という例外規定があるそうです。
つまり、夫は「最初から優等生扱い(統合コース免除組)」だったため、最後のテストの時だけ高いレベル(B1)を求められるのは矛盾する、というロジックが適用されたようです。
担当官の「粋」な計らい
とはいえ、法律の解釈は担当者次第なところもあります。
今回の担当官は、夫がこれまでドイツで正社員として働き、しっかり納税し、育休も取って家族を支えてきたという**「実質的な社会統合」**の実績を評価してくれたのだと思います。
だからこそ、あえて厳しいB1を求めず、法律の例外規定を使って「A1でよし」としてくれたのでしょう。
これはまさに、私たち日本人への信頼と、夫がベルリンで積み重ねてきた生活の積み重ねが、良い方向に働いた結果だと思います。
これからの目標は「ボーナスステージ」
というわけで、我が家の状況は一変しました。
これまでは「ビザ切れを防ぐための守りの戦い」でしたが、これからは**「夫がA1という簡単なテストに受かるだけで、家族全員が一生更新不要の最強ビザを手に入れるボーナスステージ」**に突入です!
夫は現在、手元にあるビザ(仮ビザ)で合法的に滞在できる状態です。
今日のドイツ語
- der Daueraufenthalt-EU(EU長期滞在許可)
- die Fiktionsbescheinigung(仮滞在許可証)
- die Ausnahme(例外、特例)
- der Integrationskurs(統合コース)
おわりに
今回の件で改めて痛感したのは、ドイツの役所手続きは「担当者運」や「法律の解釈」で結果が天と地ほど変わるということです。
そして何より、「収入が足りないからダメ」と機械的に切り捨てるのではなく、「どうすればこの家族がドイツで安定して暮らせるか」を親身に考え、「最善の方法」を提案してくれた外国人局の担当者(とおそらくその上司の方)には、感謝してもしきれません。
ベルリンの冬空の下、人の温かさに触れて胸が熱くなりました。
夫のA1テストは年明けの予定です。
この最後の「宿題」さえクリアすれば、私たちはこの大好きなベルリンで、ビザの心配なく、もっと自由に、もっと自分らしく生きていけるようになります。
同じように海外でビザの問題に悩むみなさまにも、ふとした瞬間に雲の切れ間から良い風が吹くことを、心から願っています。
この記事が少しでも希望や参考になれば嬉しいです。
【Photo by Yuko N.S / ANB Studio】
ベルリンでフォトグラファーとして活動しています。 ポートレート、家族写真、商品の物撮りなど、「光」を大切にした写真撮影を行っています。自宅スタジオ完備。
「こんな写真は撮れる?」といったご相談も大歓迎です。日本語で安心できる撮影をお届けします。
