トキソカラ対策と治療方法〜我が家の猫回虫ウォーズ〜

トキソカラ対策と治療方法〜我が家の猫回虫ウォーズ〜

今回は、「ネコ回虫・トキソカラ症」とは?解説していきたいと思います。

みなさま、こんにちは。フォトグラファーのYuko.N.Sです。
本日のテーマは“トキソカラ対策と治療方法 〜 我が家の猫回虫ウォーズ 〜”です。

“猫回虫・トキソカラ症”をご存知ですか?

雨ちゃんが我が家へ引っ越してきた際に初めて筆者(Catlover歴30年)はこの恐ろしい虫の存在を知りました。日本在住時から多頭飼いの経験があったため、「最初の会わせ方をきちんとやれば大丈夫!」と当初は自信満々でした。しかし、仲良くなる・ならない以前にもっと恐ろしい“猫回虫・トキソカラ症”問題と衝突したのでした、、、。

“猫回虫・トキソカラ症”とは

まずは簡単に“猫回虫・トキソカラ症”についてご説明します。

 
猫回虫症は、ペット(猫)に寄生する「回虫」というおなかの虫によって引き起こされます。感染した母猫と子猫との間での母子感染や糞便中に含まれる虫卵が原因で感染します。人に猫の回虫が誤って侵入した場合、成虫にまで発育することはできず、幼虫のまま体内を移行して内臓や眼などに侵入して、幼虫移行症とよばれるさまざまな障害を引き起こします。
 
病原体
猫回虫(Toxocara cati)
回虫卵は、環境中での抵抗力が非常に強く、砂や土の中に混じって長期間生き続け、感染の機会を待っています。
糸状の虫のため、排便時に猫の身体から排出された際に肉眼で確認することができます。
 
症状
感染していても症状が現れない「不顕性感染」がほとんどです。しかし、子猫に多数の成虫が寄生した場合は、お腹の異常なふくれ、吐く息が甘い、異嗜(いし:食べ物ではないものを食べること)、元気がない、発育不良、やせる(削痩)、貧血、皮膚のたるみ(皮膚弛緩)、毛づやの悪化、食欲不振、便秘、下痢、腹痛、嘔吐を起こします。体内に幼虫が寄生している雌猫が妊娠すると、胎盤や乳汁などを通して子犬にも感染します(母子感染)。
 
治療法
有効な抗線虫薬を投与する。
※駆虫後に虫卵が排出されていない(成虫が駆虫された)ことを確認する。
 

我が家のトキソカラ症ストーリーズ

結論から言いますと、雨ちゃんの身体にはトキソカラが寄生していて、おトイレのシェアをしたことによりアリアちゃんもトキソカラに感染。我が家の通称トキソカラウォーズのストーリーをお話しさせていただきたいと思います、、、。

症状

下痢 / くしゃみ / 発熱 / 瞬膜が閉じなくなる

発熱と瞬膜の異変はアリアちゃんだけでした。  

くしゃみの原因は、糸状のトキソカラが身体の中で動いているため、鼻を通過する際にくしゃみを引き起こすようです。 瞬膜が閉じなくなる原因も、トキソカラが眼球周辺を動いているためだと考えられます。

どこからトキソカラは来たの?

以下、長文になります。

愛猫に上記の症状が見られる、もしくはこれから多頭飼いを考えている、そんな方には是非読んでいただきたいと考えています。

多頭飼いをするにあたり、人間も猫もハッピーでいられること、そして同じようなことが起こらないよう、少しでもお力になれたら考え、書かせていただきした。

【こんな方におすすめ】

    • 愛猫に下痢 / くしゃみ / 発熱 / 瞬膜が閉じなくなる、などの症状が見られる。
    • 多頭飼いを検討している。
    • 屋外に愛猫を出すことを検討されている方

雨ちゃんが生まれ育った環境が影響していた、、、??

遡ること一年前、2020年10月30日、世の中はハロウィンで盛り上がっているとき、我が家はKleinanzeigenでメインクーン×サイベリアンミックスの可愛い可愛い(そしてたくましい出立の)子猫と出会いました。アリアちゃんを飼ってから、「アリアちゃんにとってのQualitiy of Cat Lifeはこのままでいいのだろうか、、、猫のバーディーがいた方がニャン生豊かになるのでは」(この頃のアリアちゃんは自分のことを完全に人間だと思っていました)と夫と話していたため、運命的な可愛さと魅力を持つこの子を、ぜひアリアちゃんの義理の妹として迎えたい!と気持ちが動きました。早速飼い主さんへ連絡をし、その日にご対面しに行きました。


Catlover感が強めの優しい飼い主さん(女性)が笑顔で出迎えてくださり、早速お部屋へお邪魔しました。そこにはなんとその雨ちゃんと雨ちゃんの双子のシスター(1匹)以外に、大きな大きなグレーのメインクーンのバロン(父)と美人すぎるサイベリアンのルナ(母)、さらにベージュのゴージャスなメインクーン(通称Tante、叔母という意味です)、さらにさらに異母兄弟の子猫がいました。簡単にいうと超大家族(帰り際、別室からさらに大型種の猫がとぼとぼ歩いていました)。猫好きにとってはパラダイス!キャットタワーも2つあり、自動でお掃除してくれるおトイレはなんと3つ、EG(Erde Geschoss、日本でいう1階)に位置するお家なので広々としたお庭にいつでも行き来可能、猫にとってもパラダイスなお家でした。飼い主さんの優しいお人柄から愛情を受け、大家族出身のこの可愛い子猫ならきっとアリアちゃんにとっても良きバーディーになるはず!と確信を持ち、家族に迎えることに決めました。

下記ブログでも愛猫たちとの出会いや、Kleinanzeigenに関することをご紹介しています。もしよろしければご覧ください。

事件はイエで起きているんじゃない!ソトで起きているんだ!

譲渡にあたり、この子猫のワクチンパスポートの他に、母猫ルナの匂いがついたブランケット、キャットフードをいただき、さらに見慣れない薬について説明を受けました。ペースト状のこの薬はEntwurmung(駆虫剤)で、月に一度必ずあげて欲しい、と説明を受けました。「日本で多頭飼いをしていた際にこんなことをしていたっけ?」と思う反面、「イエネコだから大丈夫か」と簡単に受け止めていました。


大家族と別れを告げて、いざ新しいお家へ向かう道中。私たちは新しいこの子猫の名前を考えたり、将来のどんなふうに成長するのか、胸を踊らせながら歩いていました。すると突然、雨が降り始め、「雨降って地固まる」ということわざにちなんで「雨ちゃん」と命名することにしました。ボーイッシュな魅力のある雨ちゃんに中性的な名前がぴったりだね!と話していると、なにやら異臭が、、、。トランスポートバッグの中で下痢をしてしまったのです、、、!!帰宅後すぐにお風呂場へ直行し身体を洗ってあげました。子猫だし、環境の変化にストレスを感じて下痢をしてしまったのだと、この時は思っていました、、、。

終わりの始まり、、、

ここからはどんな症状が出たか、どのように移ったのか、治療方法などを時系列でご紹介します。

終わりの始まり① 〜2匹の出会い〜

我が家へ引っ越ししてから2日間経ちましたが、雨ちゃんの下痢は止まりませんでした。このときはまさか回虫が原因とは思っていなかったので、環境の変化によるストレス、ご飯が合わない、お部屋が狭いのか等の堂々巡り状態でした。とはいえ少しづつアリアちゃんともご対面させよう、と考え、ドアを少し開けて鼻をくんくんさせあったり、お互いの匂いがついたもので身体を拭いたり、慎重にお互いの存在を分かってもらうようにしました。雨ちゃんが我が家へ来て3日ほど経った頃、思い切って雨ちゃんをお部屋(この頃はベッドルームが雨ちゃんのお部屋でした)から出し、リビングやバスルームなど自由に行き来させてあげました。アリアちゃんが雨ちゃんのおトイレを使ったり、雨ちゃんがアリアちゃんのおトイレを使ったり、匂いを確認し合う様子に飼い主たちは「よしよし」と見守りました。

終わりの始まり② 〜アリアちゃんに異変〜

2匹が交流した翌日、なんとアリアちゃんも下痢をしました。アリアちゃんは慎重で少しビビリな性格のため、初めて本格的に雨ちゃんと交流したことによるストレスだとその時は思いました。さらにこの頃から雨ちゃんはくしゃみが始まります。すると別の方からもくしゃみの声が!アリアちゃんもくしゃみを始めたのです。徐々にストレス以外のことを疑い始めたある朝、アリアちゃんの眼にも異常が。眼の内側にある瞬膜が開いたままになっていたのです。よく眠い時や起きた直後に瞬膜が開いていることはありますが、この時はずっと開いたまま。すぐに動物病院へ連れて行きました。

終わりの始まり③ 〜高熱・点滴 〜

アリアちゃんをトランスポートバッグに、雨ちゃんを洗濯ネットに入れて病院へ。緊急です、と伝えるとすぐに診察室へ。そのときアリアちゃんは40度の高熱で、すぐに点滴の処置をしてもらいました。さらに猫エイズ、猫コロナの疑いがあるため採血して血液検査も行いました。幸いこれら病気の疑いはなく、点眼の処置をしてこの日は終了。「緊急ではないけど、この子も下痢が続いているので診察してほしい」と洗濯ネットに入っている雨ちゃんを出すと、その姿を見た先生は爆笑(そうですよね)。2匹とも下痢のため、消化管感染症の治療薬(Metrobactin)と、整腸剤のペースト(Diarsanyl)消化器官系のサポートフードを処方され、しばらく2匹は隔離するよう説明を受けました。

私たちが与えた消化器官系のサポートフードはこちらです。病院以外でもFressnapf(ペットグッズのお店)でも購入できるようです。

整腸剤のペーストはこちら。腸に良い成分がたくさん入っているようで、先生から強くおすすめされました。錠剤より簡単に与えることができたので、愛猫を抱っこして1人でも飲ませることができた点が非常によかったです。

終わりの始まり④ 〜雨ちゃんナイスうんち 〜

前回の診察から2日経ちましたが雨ちゃんは相変わらず下痢が続き、この日は雨ちゃんのみ病院へ連れて行きました。道中でなんか異臭が、、、雨ちゃんはまたトランスポートバッグで下痢をしてしまいました、、、が!これがナイスタイミング!病院へ着きすぐにお尻を拭いてあげ、先生に下痢を見せると、糸状のうにょうにょした何かが、、、。ラボに検便を出すが、おそらく回虫・トキソカラの可能性が高いと言われました。

Entwurmung(駆虫薬)を新たに処方され、アリアちゃんと雨ちゃんに1週間に1回、連続して3週間与えました。すると2回目以降から下痢は落ち着き、くしゃみもなくなりました、、、!!!!

おトイレの熱湯消毒、バケツリレー祭りで念願のフィニッシュ!

厄介なことに、このトキソカラはアルコールでは死滅せず、熱湯消毒により死滅します。1回目のEntwurmungを投与された日におトイレやその他共有しているものを全て熱湯消毒するよう先生から指示を受けました。帰宅後、おトイレのお砂を破棄し、電気ポット+全てのコンロでお湯を沸かし、おトイレや猫用ベッド等を全て熱湯消毒しました。バスルームへ熱々のお湯を持っていく姿はもはやバケツリレー。大変でしたが、下痢やくしゃみ、その他の症状の理由が分かったことに心の底から安堵しました。

前の飼い主さんが“不思議な薬”をおすすめした理由

「回虫」、「感染」のワードを聞いた筆者は、前の飼い主さんが話していた不思議な薬はこういうことだったのか、とピンときました。その薬の話と前のお家の環境を先生に伝えたところ、「屋外に出し、多頭飼いの環境なら他の猫からトキソカラをもらったり、母体感染していた可能性が高い」と言われました。

要するに、アリアちゃんと雨ちゃんがおトイレを共有したことで、雨ちゃんの身体から排出されたトキソカラが、おトイレを経由してアリアちゃんに感染した、ということです。

今後は半年に一度、2匹同時にEntwurmungを投与するため、オンラインで買ったその不思議な薬はすぐに破棄しました。体重によって投与する量も異なりますので、お薬をもらう際は必ず愛猫の体重を測ってから処方してもらいましょう。

屋外に愛猫を出されることを検討されている方、Entwurmungは必須です!

屋外にはさらに様々な虫がいます。他の猫、ノラちゃんと接触する可能性も高いので、かかりつけの獣医さんとご相談のうえ、必ずEntwurmungをしてください。

診察時のひと工夫 〜 お手製カルテを制作 〜

愛猫に何かしら症状が出始めたら、記録を取られる方が多いと思います。写真や動画もその一つだと思いますが、我が家はカルテを制作しました。多頭飼いしていると、どの子にどんな症状があるかうまく説明できなかったり、先生も混乱することがありますよね。ドイツ語でうまく説明するために、便の形状以外にも様々な記録を付けました。

【記録項目】

・Essen(ごはん)
 与えた時間、量、ごはんの種類(Trocken or Nass)、食欲はどうだったか

・Klo(おトイレ)
 おトイレへ行った時間、便の形状

・Nisen(くしゃみ)
 だいたいの回数

・その他
 Entwurmung 、お薬を投与等

お手製カルテを先生に見せるようになってから、症状をより具体的に伝えられるようになったのでおすすめです!!また、先生も直接記入することができるので便利です◎

お手製カルテの表紙

表紙には顔写真のほか、Geburtsdatum(お誕生日)/ Umzug (引っ越した日) / Sterilisation (避妊手術を受けた日)を記入しました。

お手製カルテの中身

・Essen(ごはん)
 与えた時間、量、ごはんの種類(Trocken or Nass)、食欲はどうだったか

・Klo(おトイレ)
 おトイレへ行った時間、便の形状

・Nisen(くしゃみ)
 だいたいの回数

・その他
 Entwurmung 、お薬を投与等

日にちごとに記入しました。

今日のドイツ語

-r, Wurm(Würmer)虫、回虫
-r, Parasit (-en)寄生虫
-e, Entwurmung (-en)駆虫剤
-r, Durchfall ( Durchfälle)下痢
-r, Brei( -e)おかゆ状のもの
-e, Tante (-en)おば
-s, Klo (-s)おトイレ
-e, Pasteペースト、軟膏
-s, Fieber (-s)
niesenくしゃみをする

いかがでしたでしょうか?
次回の「Katzen / ネコ」カテゴリーでは、Cat Newsより興味深い記事を見つけたのでご紹介する予定です。 
本日もご愛読、ありがとうございました。